下北沢店/袖振り合うも多生の縁
先日、外出先で喧嘩してるカップルを見かけました。男性は「どうして俺の気持ちがわからないんだ」と訴えていて、女性は俯いたまま黙っていました。
男性の声が少しづつ大きくなって来て、これはどうしたものかとハラハラしていたら、ふと通りすがった初老のご婦人が、突然2人の肩を抱いてなだめ始めたのです。私はてっきり3人は知り合いなのだと思っていました。それくらいご婦人の様子が愛情に溢れているというか、とても通りすがりの他人に対しての行動とは思えなかったからです。
男性は少し気まずそうに笑みを漏らし、女性は俯いて泣いているようでした。ご婦人は優しく微笑みながら、女性の頬を両手で包んで涙を拭い、よしよしと再び彼女を抱きしめました。まるで子供を優しく包み込む母のような圧倒的な愛と存在感を前に、すっかり毒の抜けた顔になった2人。いつのまにか喧嘩もおさまって「それじゃふたりとも、仲良くね」という感じで、ご婦人はさわやかに手を振って去っていきました。
その一部始終を少し離れた場所からひとりて見ていた私も目頭が熱くなりました。
「袖振り合うも多生の縁」という言葉がありますが、その言葉を表す最上級のエピソードを目撃してしまった気がします。
私自身も、サロンまで足を運んで下さるクライアント様とのかけがえの無いご縁を大切にして、様々な想いを、躊躇なく抱きしめられるような、そんなセッションをしたいなぁと思いました。
■占い師 小野口憂香